ACTIVITIES - 日本製鋼所室蘭製作所見学 NPO法人室蘭地域再生工場主催バスツアー




10月12日、都市計画研究室(大坂谷研究室)の青山剛君の紹介で、日本製鋼所室蘭製作所の見学を中心とした産業観光バスツアー(NPO法人室蘭地域再生工場主催)に参加する機会があった。
参加者は山田研究室の大学院生が6人(学部生は講義のため参加せず)、全員あわせても8人で、ほぼ貸切状態の広いバスに乗りながら、普段目にすることのできない室蘭の中枢を垣間見ることになった。
初めて見る日鋼の工場の内部は、本当に刺激的である。構内で見学することができた場所は、以下のとおり。
構内は原則としてヘルメット着用で、撮影は発電所跡などの一部を除いて許可されていない。



▲日本製鋼所室蘭製作所のパンフレット。「工場御案内書」の文字がカッコイイです。


鍛練工場・機械工場

初めに案内されたのが鍛練工場。構内のそれぞれの工場の入口には現代では見慣れない毛筆体で名称が書かれ、歴史を感じさせる。
内部に入ると両側には太い鉄骨の柱が並び、屋根はトラスで組まれた細長い大空間。
ノコギリ状の天井から淡い光が入っていた。
ちょうど10000トン水圧プレスの稼働中で(高さが26mある)、水圧による鍛練の振動が足元まで伝わってくる。
さらに目を移すと、直径が背の高さほどある、発電機の軸の材料になる真っ赤な円柱の鋼を工場の上部の梁から延びたクレーンがつかんで、なんとその大きな鉄骨の梁がスライドして、鋼を奥まで持っていった。
(あの頭上を走る梁はすごい。超びっくりです)

次に訪れた機械工場では前出の軸がきれいに加工されて、様々なタイプに応じて溝のつけられた、表面に光沢のある状態で並べられていた。
その向こうでは独特の曲面の形状をした大きな鋳型が高速で回転している。すべて超身体的スケール。削られた鋼が大きな容器にいっぱいになっていた。



▲発電所跡のファサード(左)、内部(右)。


発電所跡

約100年前、まだ北海道電力が成長する以前に、自家発電のためにつくられた発電所の遺構。
現在は倉庫として使われている。
丸窓のハイサイドライトが規則正しく並ぶ、レンガが印象的な建物。
改装すれば教会になってしまいそう。
ときどきここに絵を描きに訪れる人がいる、と案内していただいた日鋼の人が話していた。
この発電所跡の向かいの工場も一部レンガ壁がつづき、紅葉をはじめたツタがからまっている。
これは戦前につくられた工場のうち、戦災の破壊を免れて現存している部分なのだという。

鍛刀所・瑞泉閣

珍しい企業内の鍛刀所がある。しばらく手を休めて直接説明をしていただくことができた。
土間の木造の建物で、内外の全周に締め飾りがめぐっている。
品質確保のため、作刀には1本につき一定日数以上をかけなければいけないという文化庁の規定があり、月に2本までが限度なのだという。

瑞泉閣は明治期以来皇族御宿泊所として、現在は迎賓館として使われている和洋折衷様式の建築。
由緒ある書や日本画、工芸品が各所に飾られている。
洋室の菊の紋章は当時皇太子御宿泊のためにつくられたので、花びらが4枚少なくなっている。
GHQに接収された際には社章を上からかぶせて取り外しを免れたらしい。日本庭園がとてもきれい。



今回の産業観光ツアーでは工場から自然環境、食事までトータルに室蘭を楽しむというコンセプトから、前述の工場見学の後、エンルムマリーナや白鳥大橋、複数の展望台をバスで訪れ、NPOメンバーの方が同席して焼鳥の店で夕食を食べるというスケジュールが組まれていた。

お世話になった関係者の方々には感謝しなければならないのだが、夜まで続いたバスツアーの内容はやや冗長で自由度に欠ける印象があり、純粋に工場を見学したい立場からは違和感があったことを指摘しておかなければならないだろう。一般に立ち入ることのできない工場は別として、少なくとも自然環境や食事などは情報が提供されていれば個人で楽しめるのではないだろうか?

ただ、これまで書いてきた通り、今回見学した日鋼に代表される工場は内外の人々が室蘭を知る上で重要な意味を含んでいるし、これから少しずつ開いていこうとする取り組みはとても楽しみである。今後、企業の受け入れ体勢や産業観光のプラン開発が発展して、工場がさらに身近な存在になることを期待しよう。(内山智之)